Blog, 帰国後_雑記

「当たり前」の裏側


3月から職業訓練校に通い続けている私ですが、
この度無事、6月1日より、
就職が決まりましたー!!


無職期間、実に1年2カ月。
いやー改めて歳月で捉えると凄いですね。
職業訓練校では「無職3カ月以上はかなり痛い」って言われたしなぁ…(遠い目)
今思うとハローワークの人にも、「無職歴約1年です」って言ったとき、心なしか憐憫の目を向けられた気がする。
旅中に出会った人たちの話や自分の選択の感想を踏まえると、私自身は3カ月どころか1年くらい無職だって全然いいじゃんと思うけど、社会常識はまた別のところにあるというのもよくわかる。

とにかく、無収入から、税金免除から、失業手当にお世話になる日々から、遂に脱出です。
めでたい!社会復帰!

 
で、職業訓練校のことや就活のことは回を改めようと思うけど、今回は面接で一つ印象的だったことを書いておこうと思う。

職業訓練校では就活指導の授業もあり、そこで面接での受け答えを予想して準備しておく機会をもらった。
おかげで本番の面接でもほとんどの質問に淀みなく答えられたけど、一つだけ予想外の質問を受けた。
それは、

ディレクター業務を約11年も勤められて、ベテランでいらっしゃるとお見受けしたのですが、ディレクターとしてのご自身の強みは何だと自覚しておられますか

というものだった。

このとき咄嗟に自分が答えた言葉が、

「強み」というニュアンスとは少し違うかもしれませんが、最も力を入れてきたのは「リスクマネジメント」です

だった。

質問も予想外だったけど、それ以上に自分の答えに自分で驚いてしまった。
正直に言うと、リスクマネジメントを自分の強みだと自覚したことは一度もなかったのだ。

かと言って、嘘を答えたという認識もない。
自分の信条として大切にしてきたのは事実だった。
ただ、例えば第三者からその能力を誉められたとかいった客観的な事実がなかったので、強みというと語弊がある、というのが正直なところだ。
(ということも面接では正直に話した)

多分、前職のラスト1年で最も意識的に取り組んだことがリスクマネジメントだったから、口から咄嗟に出てきたんだと思う。
当時の上長からも口を酸っぱくして何度も指導されたし、実際に事前予測できず燃え上がったリスクの火消しでは血を吐くような苦労もした。
特にシステム開発を伴う案件では、一つの判断ミスが大事故につながり、全利害関係者に甚大な被害をもたらし、取り返しのつかない事態に陥りかねないことを身を以て知った。

能力として高いかどうかは別かもしれないけど、おかげでどんな状況でも先を予測してから決断する癖がついた。
「今こうすることで後々都合が悪くなることは起きないか」をとりあえずリストアップするようになった。
一方で、仕事におけるある種の大胆さは多少失ったかもしれないけど、バランスをとりながら最良の手を見つけるための、スキルを一つ増やせたと思っている。

 
でもリスクマネジメントというのは、基本的に成果が見えない。
リスクは燃え上がって初めてリスクとして認識されるわけで、それを消火した者こそがヒーローになる。
燃え広がる危険があるタバコの不始末を人知れず処分していたとしても、そのこと自体が注目され評価されることは殆ど無いんじゃないかと思う。
だからスキルとしても証明しづらいものだとも思う。

そして、むしろそれこそがリスクマネジメントの本質なんだろう。
危険が明るみに出ないまま、平穏に時が過ぎることこそが最良。
リスクマネジメントにおけるファインプレーというのは、きっと結果だけを振り返っても目に見えることはない。
大河ドラマ「おんな城主直虎」で南渓和尚が披露した饅頭のエピソードや、それを受けて直虎が取った行動なんかがまさに当てはまると思う。
饅頭を腐らせたという結果だけ見れば失策のようだけど、万が一のためにスペアを備え続けたという点ではファインプレー。
結果としてその万が一が起きなかったとしても、替えが利かない不安を持ち続けることなく平穏を保てたのなら、それこそが上々なのだ。

いやそれにしても直虎の決断は凄いよね。
最愛の人との結婚を諦めて、「我がこのまま腐ることが上々」なんて、自分だったら絶対言えんなと思う。
これが言えちゃうからこそ、あの方は殿の器なのだと思う。

 
話が逸れた。
昨年のドラマ「校閲ガール」でも似たような話が出てきた。
表に立って誉められることはないし、その成果は「当たり前」としか思われていないけど、その人たちがプロの仕事をしているからこそ、当たり前で普通の毎日が成り立っている、というようなセリフだった。
「当たり前」を「当たり前たらしめている」ことこそ、かけがえのない成果なのだと。

面接では自分の強みとして言ってしまったけど、今改めて思うのは、自分はそういう見えにくいファインプレーを見つけられる人でありたいということだ。
影でこっそりその人の背中を叩いて、「ありがとう」と声をかけて、エールを送るような人になりたい。
直虎でいうところの、政次を理解し寄り添うナツさんみたいな役どころになってみたい(←ちょっと違)
そして実はナツさんの「井伊と小野の架け橋」という役目にも憧れている。
私もどこかで何かで、国と国をつなぐような役割を担えたらなぁと思う。
厚かましいかもしれんけど(´Д` )






2017-05-22 | Posted in Blog, 帰国後_雑記No Comments » 
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