Blog, ドイツ
グリム童話の音楽の街に来たらハープを弾くしかない
ブレーメンでは観光以外にやりたいことがあった。
ハープを弾きたい。
いや、弾きたいというかむしろ、
人に聴いてもらいたい。
実は中央アジアを出て以来ずっと人前で弾いていなかった。
個室に泊まったときに一人でこそこそ弾くだけ。
大きな音で思う存分弾きたかったし、何より「誰かに聴いてもらいたい欲」が極限まで高まっていた。
自己満足に人を巻き込む迷惑な奴(´Д` )
かといって出会った人に「すみませんちょっと聴いてもらえますか」って声かけるのもただの変な人だし(´Д` )
これはあれだ。
遂にあれをやる時が来た。
台湾以来、人生2度目のバスキングを!
なんせここは、あの有名なグリム童話の音楽の街。
ここで弾かずしていつ弾くというのだ!
というわけで「今日はバスキングするぞ!」と決意して、その前に場所探しも兼ねて旧市街を観光に出た。
いやーブレーメン、めっちゃテンション上がりました!
この街の雰囲気大好きです。
メルヘン街道は伊達じゃなかった!
まず街並みの写真から。
モチーフがあまり宗教押しじゃなくて、「メルヘンチック」「ファンタジック」で統一されているんですよね。
こういう街は初めて来たなぁ。
旧市街のあちこちでバスキングしている人を見かけた。
さすがグリム童話の音楽の街!
よし、自分も!
…と思うんだけど、
めちゃめちゃ怖い(´Д` )
えええバスキングってこんなに怖かったっけ?
もはや台湾でバスキングしたあの日が嘘みたいだ。
警察に捕まったらどうしよう
誰かになんか文句言われたらどうしよう
変な人に絡まれたらどうしよう
いきなり殴られたら
ハープ蹴られたら
ゴミ投げつけられたら
etc.
etc.
どう考えてもあり得ないようなことまで考え出して、完全に負のループにはまってしまった。
こうなるともう自分と自分の闘いだ。
弾きたい
でも怖い
弾きたい
怖い
弾きたい弾きたい
怖い怖い怖い
いやどうしても弾きたいんじゃー!! ( ゚д゚ )
最終的に「何が起きても死ぬことはないだろう」という極端な結論を出して覚悟を決めた。
でもヘタレすぎて、運河沿いの端っこの、あまり人が通らないけど無人というほどでもないベンチに座って楽器を構えた。
で、いざ弾きだすと、不思議と怖さも恥ずかしさも消えるんですよね。
思いっきり弾けるのが楽しくて、あまり人目を気にせず無心で弾き続けた。
でも時々立ち止まって聴いてくれる人がいると、舞い上がってつい緊張してしまった。
しばらくして女性が一人「写真撮ってもいい?」と聞いてきたので「いいですよ」と答えた。
女性が「ありがとう」と言って去っていってから、お金入れてもらう容器を置き忘れてたのを思い出した。
これじゃあバスキングじゃないやん(´Д` )
台湾のときと同じように、帽子をひっくり返して、5ユーロ分のコインを入れて置いてみた。
その後またしばらくして、隣のベンチで聴いてくれていたおじさまが、なんと50セント入れてくれた!
うわあああおじさまありがとうー!!
50セントになったんだ。自分の音が。
信じられない!
でもめっちゃ嬉しい!
ますます楽しくなって調子に乗って弾いてたら、突然左手の薬指に激痛が走った。
気づかないうちに水膨れができていて、気づかないうちに潰れていた。
めっちゃ痛い。。。
この薬指では弦が弾けない。
せっかく調子乗ってきたところだったのに。
ここで止めようか一瞬迷ったけど、どうしても止めたくなかった自分は、「絆創膏でグルグル巻きにする」という解決策を思いついた。
ついでにもっと人が通る場所に移動してみることにした。
ヨーロッパではお馴染みのドラッグストア「dm」で絆創膏を買ってグルグル巻き。
これでだいぶ痛くない!
弾きづらいけど!
で、広場やショッピングモールの辺りをウロウロしてみるも、他のバスカーさんや物乞いさんたちがいて、なかなか場所を見つけられなかった。
メイン通りの裏になっちゃうけど、比較的静かな広場があったのでそこでやってみることにした。
で、そこで2時間くらいぶっ通しで弾いたんですが、もう本っ当に楽しかったです!
ほとんどの人は目もくれず通り過ぎていくんだけど、そんな中立ち止まって聴いてくれる人がいると、ものすごく嬉しかった。
お父さんに連れられていた小さな女の子が3曲続けて聴いてくれて、遠くから恥ずかしそうに寄ってきてコイン入れてくれたときは、なんか感動して泣きそうになった。
ハープ持たせて弾かせてあげたら嬉しそうにしてくれた。
自転車から降りてしばらく聞いてくれた女の人は、「シュール!」って言いながらコイン入れてくれた。
え、シュールって、あのシュールっすか…?
喜んでいいのか複雑、、、いや、でもありがとうございます!
片言の英語で真摯に話しかけてくれた男性は、なんと10ユーロ札をくれた。
ドイツ語あまりわからなかったけど、多分男性も演奏家で、クラヴィコードを弾いていると言っていたと思う。
クラヴィコードて!超かっこいい。
どこの国の歌か聞かれて日本の歌だと答えると、「日本の歌は素晴らしいね」と褒めてくれた。
もはやあんなに怖がっていたのがバカみたいだ。
ブレーメンの人たちはとてもあたたかくて、思いやりに溢れていた。
前を通るときだけ話を止めてくれたり、演奏の邪魔をしないようにさっとコインを入れてさっと立ち去っていったり。
こんなあたたかい空間で弾けて、聴いてもらえて、自分はなんて幸せなんだろうと思った。
そもそもブレーメン、バスキングにものすごく寛容!
警察官も警備員も何度も前通るのに、全く止められず。
むしろあたたかい視線を感じた(←ただの思い込みかも)
そもそも自分がやっていたこの場所、世界遺産の市庁舎の壁だった(←後で知った)
世界遺産の前で不審なアジア女が謎のハープ弾いてても許される街ブレーメン!
いや、というか、身の程知らずですみませんでした。。
それにしてもやっぱり路上演奏は難しい!
当たり前かもしれないけど、コンサートホールで一発勝負で披露する演奏会とは、演奏の種類が全然違う。
目の前を通り過ぎる人たちの一瞬一瞬に向けて、精一杯心を込めるけど、全く至らなくて情けなくなる。
一方で、部屋で一人で練習するのの5倍くらい上達する気がする。
まさに「場数を踏む」という感じだ。
できれば自分が弾いているときの写真や動画が撮りたかったんだけど、そんな余裕が全くなかった!
ただただ必死に、ノンストップで弾き続けるだけ。
コイン入れてくれる人に「ダンケ」って言いたいんだけど、演奏でテンパりすぎて、一回何故か間違えて「グラーチェ」って言ってしまった(´Д` )
何故イタリア語。。謎すぎる(´Д` )
何にせよ楽しかった!
自分の演奏と、聴いてくれる人との距離感がとても心地よかった。
でもめっっっちゃ寒かった!!
凍え死ぬかと思った(←大げさ)
ヨーロッパでバスキング、これが最初で最後かもなぁ(´Д` )
ブレーメン、夜の雰囲気もかなりグッときた。
忘れられない街になったな。
明日はメルヘン街道の次の街へ。
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コメント7件
すぎ | 2016.10.14 13:41
先日はありがとうございました。
シュール(英語)ではなく、シューン(ドイツ語:schöne)と言ったのだと想像します。
美しい!きれい!って意味です。
すぎ | 2016.10.14 13:44
あ、eいらなかった。schön、ですね。
連投すみません。
Kei.Murakami | 2016.10.15 0:20
人吉市の北泉田町から応援しています!
今しか出来ないことだもんね、人生一度っきりだし!ガンバ!
シモーネ | 2016.10.17 9:36
>齋藤清さん
はははは、ありがとうございます。
いやぁもう恐れ多いです。。
でも本当に楽しい時間でした^ ^
シモーネ | 2016.10.17 9:38
>すぎさん
こちらこそありがとうございました!!
シューン!なるほど!
我ながらなんてベタな聞き間違いを(´Д` )
あの女性につい怪訝な顔をしてしまった自分が悔やまれる!
でも知れてよかったー!教えてくれてありがとうございます^ ^
シモーネ | 2016.10.17 9:40
>Kei.Murakamiさん
ええええ!!
あのMurakamiさんですか!?
こんな変なブログにお越しいただいて恐縮です。。
ありがとうございます!!
私も海外の地から人吉を応援してます!!
齋藤清 | 2016.10.14 9:48
この日の来るのを首を長くして待ってましたよ。シモ姉さん。
もう場数しかないと思います。
旅の幅が広がるとおもいます。
チェレステに見本を見せつけてください。
目の前の人を楽しませる快感に酔いしれて下さい。