Blog, 出発前_雑記
星とトランペット
小学5年生のときの国語の教科書に載っていた
「花と手品師」という話が大好きだった。
9歳の「ぼく」と、手品師のおじさんの話。
おじさんは本物の手品師になるために世界中を旅している。
「ぼく」の誕生日に、おじさんは必ずプレゼントを送ってくれる。
6歳のときは小鳥がさえずるような音で鳴る陶器の笛。
7歳のときは小さいガラス瓶に閉じ込めた白い帆船。
8歳のときは花の匂いのする十二色の絵の具。
9歳の誕生日に送られてきたのは、小さな一粒の種だった。
「ぼく」は種を土に埋めて、毎日水をやって世話をする。
やがて花を咲かせることに成功した「ぼく」に、
どこからかおじさんの声が聞こえてくる。
暗い土の下で眠っている種を呼んで
美しい花を咲かせているのは、
実は手品師なのだとおじさんは言う。
「ぼく」は風の中に、マントを広げて飛びながら
魔法のステッキを振って花を咲かせてまわる、
たくさんの手品師たちの姿を見る。
あたたかくて綺麗なファンタジーなんだけど、
底を流れる深い孤独と、デカダンスの気配を感じる。
ふと思い出して無性に読み返したくなって、
探してみたら「星とトランペット」という短編集に収録されていた。
他の作品も、柔らかくてあたたかいのに、淋しくて切ない。
読んでいると、一人旅の孤独が少し怖くなる。
でも改めて「行きたい」と思う。
おすすめの本です。
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