Blog, ハンガリー

ここで生まれる音にはきっと神が宿る

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2016/9/9-10
ブダペスト

 
ブダペスト滞在中は毎日が驚きの連続だったけど、なかでもダントツで印象に残っているのは、あの音楽の競演に聴衆の1人として参加できたことだ。

 
フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ブダペスト国際音楽コンクール)

類稀なる演奏技術から「ピアノの魔術師」と称されたフランツ・リスト。
その祖国ハンガリーで5年に一度だけ開催される、最も由緒あるピアノコンクールの一つだ。

 
実は自分はこのコンクールの存在すら知らなかったのだが、最終選考の日程がちょうど自分が滞在していた時期と偶然重なっていた。

しかも会場の「リスト・フェレンツ音楽院」は、なんと宿泊している日本人宿アンダンテから徒歩2分という近さ。

さらにチケットは一般人にも良心的な価格で販売されている。

さらにさらに、今回のファイナルにはなんと全6人中2人も日本人が残っているという…!

 
こんなのもう、聴きに行くのが運命だったとしか思えない!
(思い込みが激しい)

 
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というわけで、やってきた!
こちらが「リスト・フェレンツ音楽院」。

 
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ファイナル開演前のロビーの様子。
テレビ画面の向こう側で見ていたような景色が目の前に…!
既に感無量。

 
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こちらがチケット。※写真は10日のもの
9日午前の部は1,400フォリント(¥521くらい)の席を購入した。
チケットを買って、いよいよホールの中へ。

 
ところで、ブダペストの街は息をのむほど美しい建造物で溢れている。

 
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たとえばオペラ座

 
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聖イシュトバーン教会

 
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国会議事堂

 
どれも恐ろしいほどに美しい。
でも、もしあえて自分の基準で一つだけ選ぶなら、この音楽院のコンサートホールしかないと思う。

 
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こんなホールがこの世に存在するなんて!

 
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息をのむことさえできない、息が止まるほどの美しさ

 
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ここで生まれる音楽には、きっと神が宿ると確信するほどの

 
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フランツ・ヨーゼフ1世の統治下、贅の限りを尽くして建設されたというこの音楽院。
実は2010年から4年の歳月をかけて大規模改修が施され、100年前の美しい音楽ホールが甦ったのは2013年。
つまり、今のこのホールで演奏を味わえるようになったのは、ついここ3年のことらしい。
偶然の重なりでここに来れた自分は改めて幸運だと思った。

 
初日は6人のファイナリスト全員が「ピアノソナタ ロ短調」を独奏する。
そして2日目は3つのコンチェルト(「第1番」「第2番」「死の舞踏」)からそれぞれクジで引いた曲目をオーケストラバックに演奏する。
2曲の出来を総合で審査員が判定し順位が決定する。

つまりファイナリストたちは、3つのコンチェルトのうちどれが当たってもいいように、3曲全てを仕上げておかなければならない…!
ショパンコンクールにも引けをとらない、恐ろしくハードなコンクールなのだ。
あまりの難易度に、前回よりも応募が激減したという噂もあるらしい。

 
えーここまでなんか偉そうに語ってきましたが、以上はすべて人からの受け売りで、自分はリストの曲は「ラ・カンパネルラ」しか知りませんでした(どーん)
ピアノは高校まで習ってたけど全く大成せず、リストの曲なんて雲の上の方々が雲の上で弾くものだと思って生きてきた。

でもとにかく、音楽は全般大好きですから!(←雑)

 
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というわけで、この凄まじすぎるコンクールを素人なりに堪能してきた。
ただ、残念ながら2日目の午後の部だけチケットが売り切れで聴けなかったorz

以下、初日の感想。

・曲が難解
・6人それぞれが違う解釈で面白い
・場面転換が独特でそこに解釈の違いがモロに出る
・クライマックスへ向かっていく出だしがむちゃくちゃ難しそう
・つい審査員気取りで採点もどきをしてしまう(それもまた面白い)
・リアル審査員の反応をちょくちょく窺うのも楽しい
・明らかに暇そうにしてたり身を乗り出して聴いてたりわかりやすい
・てか採点表とかメモとか一切無いんだな…ファイナルだからか?
・全員クライマックスの盛り上がりがやや欠けるか。体力的な問題か
・台湾の候補者の演奏が凄すぎる。泣いた。次元が違う(ように自分には聴こえた)
〜以下、台湾の候補者の演奏について〜
・音に明確に意志があり、かつ説得力もある
・「これはこういう曲だ」と言わんばかりの
・でも押し付けがましくなくて自然。しっくりくる
・ボヤけていた写真のピンが一気に合ったかのような
・ピアノをちゃんと「鳴らして」いる
・音質の表現の幅がズバ抜けている

 
そして結果は、日本人の阪田知樹さんが優勝!
日本人男性としては初の快挙だそうです。
凄すぎる! おめでとうございます!!

自分の中で文句なしの優勝だった台湾人候補者は、なんと3位以内に入らず。
コンチェルトは全部聴けなかったとはいえ、やっぱり素人なんだなぁ^ ^;
でもあの演奏は本当に心が震えた!
またどこかで聴きたいな。

 
ところで、日本人ファイナリスト2人が弾いたコンチェルト「死の舞踏(tontentanz)」がめちゃめちゃかっこよくて、思わずyoutubeで繰り返し聴いてしまった。
リストってこんなコンチェルトも作ってたんだなぁ。知らなかった。

 

 
しかもファイナリストの1人の森本美帆さんが、なんと終演後に日本人宿アンダンテにいらっしゃって、直接たくさんお話を聞くことができた!
こんな機会滅多にない!

自分の中で、音楽家はよくも悪くも気難しいところがあるイメージだけど、森本さんはものすごく気さくでめちゃめちゃフレンドリーな方だった。
自分の素人質問にも笑顔で丁寧に答えてくださった。

森本さんから聞いたお話で印象的だったのは、リストコンクールは楽譜の版の指定が無いということ。
コンクールと名のつくものは全て指定があると思い込んでいたけど、 別にそんなことないらしい。そうだったのか、、
そして実はファイナルの演奏曲は全然準備しておらず、ほとんどぶっつけに近いかたちで臨んだのだそうだ。
とてもそんな風には見えなかった。想像を絶する世界だ。
その他、審査員のことや他の候補者さんのこと、リスト音楽院でのレッスンのことなど、普段知りえないような話がたくさん聞けてとても楽しい時間だった。
森本さん本当にありがとうございました!!

 
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コンクールでは、ブダペストのお客さんたちの様子も印象的だった。
日本のクラシックコンサートと比べてとてもカジュアルなのだ。
みんなあんまり指定席守らないし、写真も動画も撮影OK。
休憩後だったらチケット無くても入れてしまうし、本当にユルい。

でもそれが、クラシックを決して特別な非日常としてではなく、日常の中でごく自然に嗜んでいるように感じられて、素敵だなぁと思った。
やっぱりここは音楽の街ブダペストだ。

 
以上、2日間にわたって訪れたリスト国際ピアノコンクール、最高に贅沢な時間だった!
アンダンテに泊まったら、もし演奏イベントがなかったとしても、ホールだけでも是非観に行ってみてください!

 
 
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2016-02-17 18.33.26
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2016-09-16 | Posted in Blog, ハンガリー2 Comments » 

コメント2件

 toyamau | 2016.09.16 9:12

羨ましい…。(ホールも、コンクールも、その後のお話も)

愛の夢第三番は知ってるのでは?

 シモーネ | 2016.09.17 6:46

>toyamauさん
あー!愛の夢がありましたね!
本当に夢のような時間でした(´Д` )
また絶対来たいと思うホールでした!!

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