Blog, 出発前_雑記

シェラザードの狂気

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アリババ、シンドバッドなどで有名な「アラビアンナイト」。
元は千夜一夜物語という巨大説話集で、
シェラザードという女性が毎夜
王様に語って聞かせた物語を集めたものという設定だ。

一つ一つの話も面白くて好きなんだけど、
自分は、この大元の、シェラザードと王様の話が一番好き。

 
妻の不貞を目の当たりにして女性不信に陥った王は、
国中の女性を、毎晩一人ずつ召しては殺してしまう。

王の殺人を止めるため、
大臣の娘シェラザードが自ら夜伽役を申し出る。

シェラザードは王に毎夜物語を聞かせる。
その話が面白すぎて、続きが気になるあまり、
王はシェラザードをどうしても殺せない。

気づけば二百数十夜が過ぎ、
いつの間にか王はシェラザードを深く愛し、
過去を悔い改め、シェラザードを正妃に迎えた。

完。

 
これ、文面だけで読み取ると

王の狂気を鎮めた聖女の物語

って感じなんだけど、実は

殺人鬼の元に自ら飛び込んだ
ある意味王よりサイコな女の話

だと勝手に思っている。
シェラザードもそもそも狂ってるよね、っていう。

 
原型が似た話は古今東西たくさんあって、
美女と野獣とか、
ストックホルム症候群(誘拐犯を好きになってしまう)系の話にも
共通の思想を感じる。

ただ、良くも悪くも、多くは
加害者(男性)>被害者(女性)
の構図で語られがちな印象がある。

シェラザードの場合は、
自らの意志で囲われ、
最後まで優位に立ち続けるという点で、
女性側の狂気や、底知れぬ奥深さが感じられて面白い。

HUNTER × HUNTERのメルエムとコムギは
かなり千夜一夜物語の設定に近いと思う。
常に生命を賭している状態で、
殺されるかもしれない緊張感の中で育まれる関係性とか。
いざというとき、常軌を逸した覚悟を決めるのは
女性が多い気がする。

 
ただ、女性のそういったある種恐ろしい部分を
直視できる男性は、意外と少ない。

 
あれ、なんか話がずれたような…
まあいいや。

 
因みにこの千夜一夜物語、
日本では子ども向けのイメージがあるけど、
原作はこれでもかってくらいエログロ満載で、
現代の価値観でまともに読むと
頭おかしくなりかねない程のノワール作品。
シェラザードの語りも、シチュエーションとしてはピロートークだしね。
気になる人は是非ご一読あれ。

「千一夜物語」マルドリュス版 完訳

 
 
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2015-10-17 | Posted in Blog, 出発前_雑記No Comments » 
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