Blog, オーストリア
途方もない知恵と工夫に生かされている
今日はゼメリング鉄道沿いのハイキングコースを歩く。
芸術的とも称される美しい高架橋を、心ゆくまで堪能するのだ!
ゼメリングは小さい街だけど、結構しっかりしたスーパーがあったので、前日のうちにパンとチーズとハムとジャムを買っておいた。
これらでサンドイッチをつくって今日のお弁当にした。
ハイキングコースはゼメリング駅から2駅先のブライテンシュタイン駅までの5km強。
どちらの駅からスタートしてもいいらしいので、自分は先に列車でブライテンシュタインまで行き、ゼメリングに歩いて戻ってくることにした。
昨日駅に着いたときに時刻表を撮っておいた。
ブライテンシュタインに止まる列車は本数が少ないので注意が必要。
昨日越えた高架橋を逆戻り。
乗り鉄の人はここが一番興奮するんだろうか。
自分は列車に関しては乗るよりも外から見る方が好きだ。
でも船は乗らないと気が済まないタイプ(←当たり前?)
ブライテンシュタイン駅に到着。
この時点で飲み水を忘れてきたことに気づいた。
まぁブライテンシュタインのお店で買えばいいかと思いウロウロするも、街が小さすぎて店が無かった。
水なしハイキングか…大丈夫かな。。
まぁたった5kmだし大丈夫か。
そのまま行くことにした。
ハイキングコースにはこんな感じで、標識があちこちに立っていて道がとてもわかりやすい。
…はずなんだけど
途中で迷ってしまった。
標識が全く見当たらなくなってしまったのだ。
道も異常に険しい。
すぐ横が崖で30cmくらいしかない足場とか。
事前情報によると道は終始緩やかとのことだったので、自分が道を間違えたとしか思えない。
標識もあってmaps.meで現在地確認もしてて、それでも迷う自分って一体何なんだろう。
何故ヒトはここまで生存能力を失ってしまったのか。(ヒトっていうか自分が)
不思議だ。
そして人が全くいない。
撮り鉄集団の中に1人デジカメで混ざる覚悟で来たのに!
列車も自分だけだったし、もうシーズン外なのかな…?
人の後を着いていけば迷わずに済むのになぁ(他力本願)
もう引き返せないところまできてしまったので、崖のような道を必死に登り続けていると、不意に木々が無くなって視界が開ける場所に来た。
そこから見えたのが
綺麗だなー!!
ゼメリング鉄道の中でもっとも位置が高く、石と煉瓦のみでつくられているらしい。
うおお列車キター
結構本数があるのでちょっと時間が経つとすぐ列車が通る。
慌ててカメラを構えたら、ちょうどその瞬間に高架上に列車が止まった。
まさかこっちが見えているのか?(←そんなわけない)
風に吹かれる木々の音しかしない山奥で、遠くから列車の音が少しずつ近づいてきて、いざ高架橋に姿を現したときのその興奮たるや。
こんなことを言うのはおこがましいけど、少しだけ撮り鉄さんの気持ちがわかった気がした。
ちなみに自分がこの景色を見たのは、地図上のこのポイントです。
マジで崖でした。
絶対正規ルートじゃないと思う。
行かれる方はご注意ください。
(こんなとこに迷い込むのは自分くらいなんでしょうが)
もちろんここ以外にもちゃんと橋を拝めるポイントがたくさんあります。
その後も道無き道をしばらく進むと、
なんとか正規ルートっぽい道に出た。
そうそうこういう道ですよ求めてたのは。
で、正規ルートに出てすぐ、
さっきの崖よりずっと快適な観賞ポイントを見つけた。
さっきまでの苦労はなんだったんだ
先程の「クラウセル・クラウゼ橋」と、その先に続く「カルテ・リンネ橋」及びトンネルが一望!
列車に乗っているとわからないけど、こうして外から見るとカルテ・リンネ橋が美しい二重アーチになっているのがわかる。
ほんとにすごいとこ走ってんだな…
模型を見ているような気分になってくる。
しかし残念ながら、ヴァッハウ渓谷に引き続き今回も天気が悪い。
最近の日頃の行いが悪かったからなぁ…
このポイントからさらに進むと、
今度は櫓みたいな鑑賞ポイントがあった。
最初の苦労がますます馬鹿みたいだ。
登ってみると、
背面にゼメリングの街。
いつの間にか大分ゼメリングに近づいていた。
カルテ・リンネ橋のさらに先にあるこの橋がまたかっこいい!!
まさに岩をくり抜いて貫き通っている。
名前なんて言うんだろう…(ググるも見つけられず)
本当に人の手でつくられたんだろうか。
元々ここにあったんじゃないかとか思ってしまう。
設計者のカール・リッター・フォン・ゲーガは、この鉄道の最重要課題の一つに「自然との調和」を挙げていたという。
実際に目にすると改めてその意図がわかる気がした。
ベンチで絶景を眺めながら、持ってきたサンドイッチを食べた。
水がないから口の中がさらにカラカラになった。
ここから先は道が鉄道沿いになっていった。
列車の走る音がどんどん近くなる。
重機もない時代に、一つ一つ人力で積み上げられた橋。
1,000人もの命を代償に。
でもその苦労によって、ウィーンはオーストリア南部の主要都市そしてイタリア、クロアチア、スロベニアにもつながる主要幹線を得ることができた。
今自分が生きているこの世界は、途方もない、想像を絶するほどの、知恵と工夫と、失敗と成功と、不屈の意志と努力の積み重ねでできている。
それらによって自分は未来に生かされている。
橋を間近に見て、そんなことを強く強く感じた。
懐かしいなーこういうの
子どもの頃は今よりも列車が好きだった気がする。
知らない世界に連れて行ってくれる夢の乗り物のように感じていた。
最後に、ゼメリング駅の中にある小さなミュージアムに寄った。
カルテ・リンネ橋!
途中経過のイラストを見てもなかなか実感が湧かない。
どれほどの苦労だったことだろう。
ミュージアムの奥にカルテ・リンネ橋のジオラマが!
しみじみ眺めていたら、スタッフのおじさんがスイッテを入れてくれて、
列車が走り出したー!
可愛いな!
子どものように興奮して写真バシバシ撮ってしまった。
素晴らしかったゼメリング鉄道!
ここに来れて良かった。
明日は一気にザルツブルクまで移動する。
オーストリア滞在も残り僅かになってきた。
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