Blog, キルギス
本能で欲する
今日はいよいよ一週間以上滞在したカラコルを出てビシュケクへ戻る。
たくさんの出会いがあって、行けないと思っていたアラコル湖に行けて、伝説のイシククル湖も観れて、馬にも乗れて…濃かったなぁカラコル。
なんとなく立ち寄った街だったけど、忘れられない体験がたくさんできた。
今までの自分の旅で最も長くお世話になったduet hostel。
同時に一番去りがたい宿になった。
特にスタッフのジカとの別れが淋しかった。
またいつか戻ってきたいなぁと思う、本当に素敵な宿だった。
宿からタクシーでバスターミナルへ行き、ビシュケク行きのマルシュに乗り込む。
最初はビビりまくっていたマルシュももうすっかり慣れた。
なんだか自分の旅行はいつも、やっと慣れてきたと思った頃にその地を去ってばかりな気がする。
マルシュで隣になった女性2人組が「どこから来たの?」と英語で話しかけてきた。
中国人の旅行者かと思ったら、2人ともキルギス人だった。
キルギス人と日本人や中国人や韓国人は顔立ちが似ているなぁと感じる。
ビシュケクに着くまでの間、2人と少し話をした。
2人ともビシュケクの大学に通う学生だった。
英語が話せるビシュケクの大学生に会ったのは、アンティマク、ジカ、ウルクベクに続いてこれで5人だ。
最初こそ驚いたけど、これだけ立て続けに会うと、キルギスの大学生が英語を話すことは普通なのかもしれないと思えてくる。
そもそもキルギス語とロシア語の2カ国語を操るキルギス人は、言語習得能力も高そうだ。
観光資源もたっぷりだし、これから国の発展にともなって、国際的に活躍するキルギス人がどんどん増えていくのかもしれない。
というか、自分が知らないだけで既にたくさんいるのかもしれない。
若い女性2人だったので、兼ねてから気になっていた結婚観も聞いてみた。
キルギスでは「女性は早く(遅くとも20代早めまでに)結婚すべき」という風潮が強いと聞くが、実際のところどうなのか。
2人とも「結婚はしたいけど、今はまだ早い(勉強をしたい)」という答えだった。
親はうるさく言ってこないのかと聞くと、「まぁ言ってくるけどね(笑)」と。
ちなみにジカにも同じ質問をしたところ、2人と同じ答えだった。
そりゃそうだよなぁ…
一方、実はウルクベクにも近い質問をしていたのだが、彼は「(男女問わず)できるだけ早く結婚すべき」という考えだった。
結婚し子どもを育てることこそが人生の喜びだからと。
日本で自分が培った価値観に照らし合わせると、彼のこの発言は一定数(特に女性)に反感を持たれてしまう気がするけど、ここキルギスの地で聞くとごく自然な論理のように感じられた。
一方で、自分自身の共感先は、やっぱりジカや女子大生2人の方になってしまうわけだけど。
日本から遠く離れた全く別の国の価値観を、日本人としての自分の価値観を以て図ろうとするのはナンセンスだと思っていたけど、「全く別」という思い込みの方がナンセンスだった気もしてきて、マルシュの車窓を見ながらしばし考え込んだ。
5時間ほどで無事ビシュケクに戻ってきた。
ドスゲストハウス
混合ドミトリー1泊450ソム(¥663くらい)
朝食付き、wifi有、ホットシャワー
カラコルでまいちゃんやクミさんに出会えて、もう以前のように日本人を欲していたわけじゃなかったけど、なんとなくさくらゲストハウスから宿を変えてみた。
スタッフさん親切だしこの値段で朝食付くしで良い宿だったけど、部屋が実質ツインでもう1人が男性だったので最初かなり気まずかった。
ただラッキーなことに、この男性が控えめだけどとても話しやすいナイスガイで、彼のおかげで終始リラックスして過ごせた。
イスラエル人のペレグ。
多分時間にして合計1時間も話してないけど、ほんといい人だったなぁ。
若干27歳にしてなんと兵役歴6年らしく、驚いてつい色々と質問してしまった。
「ごめん、知ってると思うけど、日本には軍隊も徴兵制もないから気になるんだ」と言うと、「それが一番だ(ないに越したことない)と思うよ」と苦笑いした。
女性にも兵役を貸す皆兵国家イスラエル。
ここキルギスではイスラエル人の旅行者をたくさん見たけど、女性には出会えなかった。
イスラエルにもいつか行って、もっといろんな話を聞いてみたいな。
宿に荷物を置いて一休みしてから、マルシュに乗って街の南の方へ向かった。
実はイシククルのユルタキャンプで出会ったクミさんと、ここビシュケクで日本食レストランに行く約束をしていたのだ。
食べたくて食べたくて仕方なかった日本食をついに味わえる時が来た…!
とっても気さくで物腰柔らかな日本人オーナーが出迎えてくれた。
ここで供されるのは日本人による完全なる日本食だった。
卵焼き、ほうれん草のお浸し、鯖鮨、大根おろし付きの唐揚げ、カツ丼、、、
もう泣きそうだった。
美味しすぎて。
旅行に出る前は、「別に日本食食べれなくたって平気だよ」「むしろその国のその土地のものが食べたいよね」とかドヤ顔で言ってたけど、あれ嘘でしたすみません。
自分でもこれほど日本食が食べたくなるとは思わなかった。
理屈じゃないんだよね。
本能が欲するのだ!(←別にかっこよくない)
ここでもクミさんの紹介で2人の日本人女性にお会いすることができた。
カザフスタンへの留学を経てキルギスに住みタレント活動もされているエリさんと、両親の仕事の都合で中学生の頃からカザフスタンに住み現在はキルギスで大学在学中のカスミちゃん。
JICA関連の仕事でキルギスに来る日本人の話は聞いたことがあるが、決して日本人の住民が多いとは言えないここキルギスで、完全自由意志でキルギスに根をおろす若い女性に2人も出会ったことは、少なからず意外だった。
「まぁ確かにマイナーな選択ですよね」と、2人とも苦笑いしていた。
そんな2人の話が面白くない筈がなく、キルギスや中央アジア全体のこと、生活のことや恋愛事情までいろんな興味深い話を聞いた。
このときに、自分がビシュケクに帰ってきたまさにこの日の午前中、まさにこのレストランのすぐ近くの中国大使館で、ウイグル民族系と思われる犯人による自爆テロが起きていたことを知った。
テロをこんなにも間近に実感したのは初めてで、恐怖よりも驚きが強かった。
ウイグル族と漢民族の諍いについては新疆ウイグル自治区でこそ警戒していたものの、ここビシュケクでテロが起こるとは全く想像していなかった。
カザフスタンやキルギスもウイグル族はじめ多民族が共存している国なのだ。
単一民族国家の日本で生まれ育った自分にはなかなかイメージがつかない。
改めて気を引き締めて旅行しないといけないと思った。
そして同じくこのときに、ウズベキスタン大統領の死去報道を知った。
(のちに重体報道も出て錯綜)
真っ先に思ったのは「自分の申請中のビザは無事おりるんだろうか」ということだった。
そしてこのことが、自分の今後の旅行ルートを大きく変えることになるとは、このときはまだ予想していなかった。
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