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偉大なる旅バカ

Tabriz_School_Shirin

世界一周「行きたい所よりやりたいこと」シリーズの中に、
偉大なる旅行家、イブンバットゥータの墓に語りかけてみたい
というのがある。

今日は、モロッコが生んだ大旅行家
イブン・バットゥータさんが、いかにぶっとんでるかを語ります。

 
まだ大航海時代が始まる前、
中世に活躍し、世界史の教科書に名前が挙がる冒険家と言えば、
マルコ・ポーロ
鄭和
そして
イブン・バットゥータ

21歳でモロッコのタンジェを旅立ったイブン・バットゥータは、
約30年の月日をかけ、11万7,000km、
実に地球3周相当もの距離を旅した。
彼が辿った経路がこちら。

map
エジプトを経て聖地巡礼の後、
イラン、シリア、アナトリア半島、黒海、キプチャク・ハン国、
中央アジア、インド、スマトラ、ジャワを経て中国にまで達する。
(※中国は訪れていないという説もある)

 
月日や距離を考えると、
驚異的な大冒険、偉大な探検に違いないんだけど、
この人のなんか親近感湧くところは、
役人でも軍人でも商人でもなく、一市民であり旅行者だったところ。

冒険家は常々、大船団やキャラバンを伴うのに、
イブン・バットゥータはたった1人で出発する。

そもそもの目的はハッジ(イスラム教の聖地巡礼)なんだけど、
事ある毎に寄り道して遠回りする。

聖地巡礼が終わってもモロッコに帰らず、
何故かモンゴルを目指しちゃう。

行く先々で奥さんをゲットしたり、
巡礼と全然関係ない土地に長期滞在しちゃう。

そんなこんなで、本来は往復16カ月で済むはずのハッジに、
なんと24年もの月日をかけてしまうのである。
だいぶ病的な旅バカである。

 
マルコ・ポーロは交易、鄭和は国命と、旅の目的が明確なのに対し、
イブン・バットゥータはいまいち目的が曖昧なところも面白い。
途中身ぐるみ全部剥がされたり、同行者がみんな死んじゃったり、
かなり壮絶な旅なんだけど、それでもまた1人で次の土地を目指してしまう。
本当に純粋な好奇心だけで何十年も旅しちゃったんだろうか?
ちょっと狂気すら感じるほどの旅中毒。

 
ハッジを終えてモロッコのタンジェに戻ったときには、
イブン・バットゥータは45歳になっていた。
彼は故郷の地を踏むまで、両親が既に他界していることを知らなかった。
母親の死は帰郷のたった数ヶ月前だったというから切ない。

 
それでもイブン・バットゥータはまた旅に出てしまう。
今度は海を渡りイベリア半島を旅行し、その後サハラを縦断してアフリカ西部を周遊。
彼が生涯で訪れた地は、現代の世界地図の50カ国以上にあたるという。

 
イブン・バットゥータがこんなにも広大な距離を移動できたのは、
当時のイスラム圏ネットワークが非常に有機的に機能していたためと言われている。

彼が旅をしたのはまさに、
イスラム圏が世界の半分を占める、イスラム最盛期だった。
イスラム法には、旅人の安全を保障したり、
聖地巡礼を目指すキャラバンを保護するものもあった。
聖地に向かう主要ルートとその中継都市は、国家政策として整備されていた。
だから当時のムスリムたちは、「イスラム教」をパスポートにして
広大な距離を安全に旅することができたのだという。

「千夜一夜物語」の登場人物がやけに長距離移動しまくるのも、
当時のこういったイスラムネットワーク社会が背景なのかもしれない。
現実とフィクションがつながるようで面白い。

 
今は国際情勢の問題があるけど、
いつか、イブン・バットゥータが辿ったルートを
一部でもいいから実際にまわってみたい。
タンジェで海を見つめて育った少年は、向こう岸に行くことをずっと夢見てたんだろうか。
イスラム圏から非イスラム圏に辿り着いたとき、世界は彼の目にどんな風に映ったのか。
モルディブにいた9カ月間とか、一体何してたんですかバットゥータさん。
しかも島民が上半身裸で過ごすのが気に入らなくて出発決意するとか、面白すぎ。

 
ところで、実際にルートをまわるのは無理でも、
こんな所で擬似的に味わってみるのもいいかも。

ay_st08
http://www.kurashiru.com/6299/

 
DUBAI2-2
http://www.tabikobo.com/blog/21169/

 
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http://by-s.me/article/47958157218483440

イブン・バットゥータモール(ドバイ)
イブン・バットゥータの旅した地域をまわるコンセプトのショッピングモール。
アンダルシア、チュニジア、エジプト、ペルシャ、インド、中国の6エリアがあって、
異国情緒を楽しみながらショッピングできるらしい。
「世界一美しいスターバックス」がある場所としても有名ですね。

 
全然関係ないけど、自分がディズニーシーで一番好きな
フォートレス・エクスプロレーションの中にも、
イブン・バットゥータの肖像画が飾ってあります。
もし行ったらよかったらバットゥータさん見つけてあげてください。

 
さらに全然関係ないけど、
無駄に名前がかっこいいと思うんだよね、
バットゥータ。
トッカータ的な。抜刀斎的な。
何か必殺技の名前のようで、テンションが上がるんだよな。

 
 
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2015-11-05 | Posted in Blog, ルート, 準備No Comments » 
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