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マニエリスムの奇才
世界一周「行きたい所よりやりたいこと」シリーズの中に、
エル・グレコの絵画と、実際のトレドの景観を見比べてみたい
というのがある。
エル・グレコはギリシャのクレタ島出身、
16〜17世紀にかけて、スペインのトレドで活躍した宗教画家。
まぁなんというか、とにもかくにも
独特です、世界観が。
初めてこの人の絵を見たとき、
「漫画みたいだなぁ」と思ったのを覚えている。
やけに劇画調だし、人物の顔がみんな似ている。
例えばこちら。
「受胎告知」1596-1600年頃/プラド美術館
ここまで劇的な受胎告知もなかなか見かけない。
空が雷雲かのように暗いし。
そもそも室内なのか室外なのかわかんないし。
上で天使たちめっちゃ楽器弾いてるし。
なんか後ろにちっちゃい顔がたくさんあるし。
「無原罪の御宿り(聖母被昇天)」1608-1613/サンタ・クルス美術館
これもすごいよね。
なんでこんな構図になったんだろう。
色使いのメリハリもほんと独特。
エル・グレコはマニエリスムの奇才とも呼ばれたりする。
マニエリスムの表現では、
遠近法や短縮法、明暗法があえて抽象化されたり、
空間や人体もわざと歪められたりする。
そんなエル・グレコが描いたトレドの街がこちら。
「トレド風景」1597年頃/メトロポリタン美術館
当時は、純粋な風景画の概念はまだほとんど存在していなかったそうだから、
これも宗教絵画として見るのが正解なんだろう。
やっぱり遠近が不自然だし、空もやけに劇的だ。
神の怒りとか、神秘性とかを表していたりするんだろうか。
そして冒頭に掲載したこちら。
「トレド景観と地図」1610年頃/エル・グレコ美術館
こっちはもう、空に天使舞っちゃってる(笑)
手前で地図持ってる男性との対比が、なんだかシュールで面白い。
こっちの方が、実際のトレドの風景と似てそうな気がする。
で、実際のトレドの景観がこちら。
エル・グレコが宗教都市として描き続けたトレドを、
自分が実際に目で観たら、どんな風に感じるんだろう。
想像するだけでわくわくする。
絵画に対する印象も、実際に街を観る前と観た後では変わってくる気がする。
あと、エル・グレコの作品だとこれも好き。
敬虔な信者ヴェロニカが、
ゴルゴタの丘へ歩くキリストの顔をショールで拭いてあげたら、
不思議なことに、そのショールにキリストの顔を浮かび上がった。
という聖人伝承がモチーフ。
ヴェロニカの表情もイエスの表情も、
なんとも言えずアンニュイ。
どんな意味が込められてるんだろう。
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