Blog, 帰国後_雑記
職業訓練校行ってみたらホントはこんなトコだった!
気づけば修了式からもう一カ月…(遠い目)
ここで改めて、自分が3カ月間通った職業訓練校の感想を書いておこうと思います。
まず結論から言うと、
職業訓練校、めっちゃよかった!!
想像以上に深い学びを得られたし、良い出会いにも恵まれました。
この制度の意図と自分の目的が合致する人なら、受けて損はない、素晴らしい仕組みだと思います。
以下、自分の体験を具体的に書いていきます。
そもそも職業訓練校とは、ものすごくざっくり説明すると、自治体や法人が無職者に対し、就業に役立つ技能や知識を国の支援を受けて教育・提供する制度のことです。
(そんな職業訓練校に自分が通うことになった経緯はこちら)
職業訓練校では「医療・福祉系」「情報処理系」「事務系」などさまざまな学科が設けられていますが、自分が受講したのは「国際ビジネス科」。
「事務職として必要な英語力及び貿易に関連する知識・技能を有し、貿易実務に対応できる人材」の育成を目指す学科です。
具体的には、3カ月間で「日商簿記3級」「英文会計(BATIC)Subject1」「貿易実務検定C級」「TOEIC600点取得」に相当する学習を行います。
(※受講=資格取得保障というわけではありません)
目指す就業先としては、商社、貿易会社、船会社、航空会社、百貨店、フォワダー(貨物利用運送事業者)などの貿易事務が挙げられています。
まず自分は、職業訓練校に「国際ビジネス科」なんてコースがあることに驚いた。
自分の目先の目標が「海外で自活できるようになること」だったので、英語はもちろん、海外での就業にも役立ちそうな知識を得られるこの学科は、自分が当時まさに求めていたものでした。
ちなみに「トラベルビジネス科」なんてのもあり、掛け持ちできるものならそっちも受けてみたかった。
選考時の第2希望は「Javaプログラミング科」にしていました。こっちはいずれ独学でなんとかしよう。多分…
開講学科や募集日程は、ハローワークでパンフレットをもらって知ることもできるし、東京都の場合は「TOKYOはたらくネット」のサイトから見ることもできます。
東京都民じゃなくても申し込み可能です。
職業訓練の授業は、自治体の依頼先である民間のさまざまな専門学校で行われます。
自分の場合は「資格の学校TAC」の渋谷校でした。
授業は1日50分×6コマ、10時スタート16:40終了。
基本的には平日5日間毎日通います。
さて、ここまでの情報を踏まえると、一般的な専門学校とそんなに変わらないようですが、実態はかなり違います。
職業訓練校の特殊性その1:
「就職こそが最大目的」
職業訓練校においては、知識や技能の習得は「就職するための手段」でしかありません。
目的は何が何でも必ず「就職する」こと。
なので受講しながらも就職活動が必要で、毎月何日間か設けられている「就職活動日」では授業は休みになるし、就活指南の授業も設けられています。
受講中であろうと、就職が決まれば途中退校になる(喜んで追い出される)ことも、一般的な学校と大きく違うところです。
就職が目的である以上、何度も職業訓練校に来ることも喜ばしくないので、先生たちも「皆さんにはほかの生徒さんと違って『また会いましょう』と言うことができません」と、苦笑いで仰っていた。
それを聞く生徒たちも苦笑いw
職業訓練校の特殊性その2:
「厳しい受講規則」
血税をいただいて受講させてもらっている以上当然かもしれないですが、職業訓練校に通う上での諸規則がとても厳しいです。
まず欠席は基本的に認められず、やむを得ない事情によるものであっても必ず証明書類が必要。
(Ex.体調不良…病院領収書と医師診断書など)
該当日の基本手当と通所手当の支給を得ない場合は欠席できますが、その場合も詳細な理由の提示が求められます。
また全日程のうち出席日数が8割を切ると、各手当は支給中止。
遅刻や早退、内職やアルバイトなどをした際も書類提出が必要。
その他日誌当番、就職状況報告、就職面接証明など、こまごまと義務が課せられます。
授業中の食事、大声の私語など常識的に明らかにNGといったものも、わざわざルールとして紙で通達されます。
通常の専門学校と比べるとかなり息苦しい状況ではありました。
ちなみに自分が地味につらかったのが「授業中のスマホ・タブレット利用禁止」。
英語の授業では電子辞書が必要だったんだけど、アプリでしか持っていなかったので改めて購入する羽目になった。
まぁ、買ったら買ったで結構便利なんですけどね。
職業訓練校の特殊性その3:
「授業内容の限界」
通常の専門学校の場合、自分のレベルに応じた講義を選んで受講しますが、職業訓練では、レベルの異なるさまざまな人が一つの学科に集まります。
そのため、授業の内容がどうしても普遍的・包括的になる傾向があります。
自分が受講した国際ビジネス科の場合、例えば「日商簿記はもう持ってるから英語だけ学びたい」という人もいるわけですが、そういう人も初心者と同様に全講義をしっかり受けないといけません。
特に英語は、少人数やマンツーマンのレッスンと比べてしまうと、当たり前ながら限界があるなぁと感じました。
ついていけない人には辛く、既にある程度身に付けている人には物足りない、といったことがどうしても起きてしまいます。
さて、上記3点は、職業訓練制度を客観的に見た場合、どちらかというとマイナスポイントになるけど、自分の場合は幸運なことにプラスポイントでもありました。
まず「就職こそが最大目的」については、実際に自分の目下の目的も就職(海外での就職と、渡航までの間の日本での就職)だったので、むしろモチベーションが上がって良かった。
次に「厳しい受講規則」は、社会人ブランク1年だった自分にとってとても良いリハビリになった。
通うだけで自動的に生活リズムが整っていくという。
そして「授業内容の限界」も、自分の場合はたまたまどの分野も未経験で、英語のレベルも絶妙にちょうどよかった。
そりゃあフィリピン時代のマンツーマン授業と比べたら濃さはかなり落ちるけど、文法の曖昧だった部分を丁寧にケアできたし、TOEIC攻略の具体的なコツをたくさん得られたのもとても良かった。
授業は複数の先生が担当されましたが、どの先生もかなり質の高い授業をしてくださったと思います。
全く未経験だった会計や貿易実務も、概要をかなり効率的に理解できた。
英語の授業もただの座学ではなく、ペアワークやグループワークがふんだんに取り入れられていて、生徒がモチベーションを維持できるようとても工夫されていました。
そして何より、どの先生も人柄がとても素晴らしかった。
ちなみに運営側から諸手続きを3カ月サポートしてくださったTAC社員の方も、人柄・仕事ぶりともに素晴らしく、こんなに気持ちよく通えたのは、彼女と先生たちの尽力がすごく大きかったと思います。
実は地味に不安だったクラスメイトについても、これが一番嬉しい誤算でした。
ハローワークでも入学時のオリエンテーションでも「生徒間のいざこざが多い」と結構脅されたんですが、蓋を開けてみればそんなことは一切なく。
1人の例外もなく、奇跡的なまでに全員の人柄が素晴らしくて、とても穏やかで居心地の良いクラスでした。
授業態度もみんな真面目で、慣れあいすぎず、でも仲が良く。
「無職者」同士ならではの自虐や相談が気兼ねなくできたのも嬉しかったなぁ。
「就職」「英語習得」という共通ミッションがあるので、仲間意識も自然と高まり。
でも先生たちは「このクラスは例外」「今まで持ってきたクラスの中で一番いい」と言っていたので、単にラッキーだったのかもしれないです。
修了式の日なんか、みんなで自然とTAC社員さんにお礼のカードを書いて渡したりして、ほんと素晴らしい人たちの集まりでした。
そもそも国際ビジネス科は女性が圧倒的に多く、しかもキラキラした活発な美人が多くて、雰囲気がとても華やかだった。
男性の生徒さんなんかかなり楽しかったと思うなぁ。
いろいろと思い出していたらすっかり長くなったけど、最後にもう一つ。
実は自分は、実際に受講するまでは、職業訓練校というのはどうにもこうにも就職できない「就職困難者」が行く場所なのかなと想像していました。
例えば、ニートから脱出できないとか、人とのコミュニケーションが致命的に苦手とか、そういった個人ではどうしようもないレベルに至ってしまった「困難」を、ある程度強制的にでも救い上げるための場所というイメージをなんとなく持っていました。
でも実際は、そんな優しい場所では全くなかったです。
授業はみっちりだし、内容も難しいし、やる気のない生徒は容赦なく置いていかれ、すぐ退校になってしまうシステム。
就職に至った頭数で国から学校への支給額が決まる仕組みなので、そもそも明らかに就職の見込みがなさそうな人は選考で受からない。
むしろコミュニケーション力とやる気のある人しか利用できない制度だと感じました。
その「やる気」の中には、「失業手当ほか各種手当が支給される」ことももちろん含まれているわけで、むしろそれのみが目的で利用する人もいるようです。
その良し悪しについてはいろんな意見がありますが、自分が行ってみた感想としては、収入が第一義だとすると時間の投資が割に合わないかなと思いました。
ハローワークでも説明を受けますが、純粋に収入が必要なだけなら、何カ月も学校に通って失業手当で食いつなぐよりも、できるだけ早く就職して再就職手当をもらうのが一番お得です。
何よりお金だけが目的であれだけの授業を毎日受け続けるのは、モチベーションがしんどいんじゃないかなと。
普段から仕事でもなんでも「お金のみが目的」と割り切っている人は平気かもしれないけど。
一方で、開講学科の中に自分が学びたい内容がある人や、未経験の分野にチャレンジしたい・試してみたい人なんかは、転職の前に利用して損はない、むしろ是非利用をおすすめしたい制度だと思いました。
それこそ、世界一周旅行者が社会復帰への足掛かりとして利用するのにもとても良い制度だと思う。
選考があるので必ずしも受講できないところはネックだが(´Д`)
以上、シモーネ的職業訓練校の感想でした!
次回は就職に至るまでのことを書きます。