Blog, ハンガリー

時が止まった中世の街で謎の巨大虫と闘う

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2016/9/15
ブダペスト→ショプロン

 
6時半起床。
アンダンテホステルのキッチンで最後の朝ごはんをつくって食べた。
荷造りして8時過ぎにチェックアウト。
金子さんとじゅん君が玄関まで見送ってくれた。

さぁ、今日からまた一人だ。

 
ブダペスト東駅まで、肩掛けリュックとコロコロとハープを持って歩いて向かう。
このデフォルトスタイルさえも久しぶりな気がした。

ブダペスト東駅からは電車でオーストリアへ向かう。
その前に、オーストリアとの国境直前にあるショプロンという街に寄ってみることにした。
以前から国境あたりの地域とその歴史に興味があり、機会があれば行ってみたいと思っていた。

 
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窓口でショプロン行きのチケットを買う。
紙があまりにペラペラなのでレシートかと思ったらチケットだった。
2枚あるけどそれぞれが何なのかよくわからず。
電光掲示板でホームを確認して電車に乗り込んだ。

うむ、もうヨーロッパの電車も手馴れたものだな…と悦に入っていたら、チケットチェックの係員さんが来た。
チケットを見せると、困惑した顔で「え、この電車ショプロン行きじゃないんだけど」と言われる。

なぬ…?
そんなバカな。

ちゃんと掲示板にあった電車に乗ったぞ。

 
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ブダペストに引き返して乗り直すしかないと言われたので、仕方なく次の駅で降りた。
清々しいほど何もない駅だった。

まぁもう、これでも一応出国して半年経ってますからね、今更この程度のアクシデントで取り乱したりはしませんよ、へへへへ。
静かにブダペスト行きの電車に乗り込む。

 
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それにしてもなんで間違えたんだろう?
ブダペスト駅に戻ってからもう一度電光掲示板をじっくり見てみた。

あ、
掲示板の見方間違ってた。

 
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てっきりこの区画で1便かと思ったら、

 
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一行につき1便だった。

…掲示板のデザインが悪い!(←言いがかり)

 
まぁなんにせよ間違えた原因がわかってよかった。
続いて、今持っているチケットでそのまま別の電車に乗れるのか窓口に確認に行く。
スタッフさんに聞くと、指定席券だけ買い直してくれとのこと。
そうか、あの2枚は乗車券と指定席券だったのか。

てかよく見たら

 
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チケットにちゃんと車両番号も座席番号も書いてあった。
最初に乗った電車に指定席番号がなかった時点で間違いに気付けたということだ。
本当に私ってヤツはorz

 
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結局この乗り間違いで2時間のロス。
憂さを晴らすべくクリームドーナツを買うも、動揺のあまり値段をメモし忘れる。

でも今度はちゃんと正しい電車に乗り、

 
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2時間40分ほどで無事ショプロンに到着した。
そのまま今日の宿へ移動。

 
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Polus Pension
ダブルルーム1泊¥2,823(アゴダ予約)
ホットシャワー、WIFI有

最安値検索でもこの価格のダブルルームになってしまった。さすがヨーロッパ!
でも高いだけあって建物も部屋も超素敵でテンション上がった。
TV付いてる個室とかいつ以来だろう?
あ、中国の蘭州以来だ。
中国か…(遠い目)

 
この時点で既に14時半。
ショプロンには1泊しかしないので、部屋に荷物を置いて慌てて観光に出かけた。

さてどんな街なんでしょうかショプロン!

 
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はわわわわ…

 
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凄い、本当に中世から時間が止まってるような街だ

 
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何が凄いって、こんなに美しい街なのに何故か人がいない。
空気がひっそりとしている。
こんなに素敵な街だったなんて。
なんか得したような、同時に自分なんかが来ちゃってごめんなさいというような複雑な気持ちになった。

 
このショプロンの街は、ローマ帝国時代はパンノニア州に属し、スカルバンティアという名前の都市だった。
(ところで自分はこの「スカルバンティア」という名前の響きがとても好きです)
旧市街の北にある中央広場は、なんとこの「スカルバンティア」だった頃から広場だったらしい。

中世以降ハンガリー領となってからは、この街はその地理的特性から何度も岐路に立たされる。

13世紀にはボヘミアに支配されるも、街はハンガリー軍を受け入れハンガリーに忠誠を誓った。
16世紀にはオスマン帝国がハンガリーを占領したが、ショプロンだけは攻撃の手を逃れ「ハンガリー」として独立を保った。
(だから現在も中世からの美しい街並みが維持されている)
一次大戦後オーストリアとハンガリーが分断する際には、ショプロンはその帰属を住民投票によって決めた。
地理的にも経済圏としてもほぼオーストリアだったにもかかわらず、当時の市長の説得により市民はハンガリーに属すことを選んだという。
街がハンガリーとして存在してきたことへの誇りの高さがうかがえる。

そしてこのショプロンは、ベルリンの壁崩壊のきっかけになったとされる「汎ヨーロッパ・ピクニック」の開催地でもある。
歴史的政治集会の場所にここショプロンが選ばれたのも、この街の「オーストリア領に食い込んでいる」地理的特性によるものだという。

 
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国境付近ならではのドラマに想いを馳せるも、現在のショプロンはそんな歴史は忘れてしまったかのように、穏やかで、ただひたすら美しい街に見えた。

 
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中央広場の奥にある「火の見の塔」に登ってみた。
かつて城壁を巡らしていたこの街は、「内部の火事」だけでなく「外敵の侵入」もこの塔から見張って警戒していたのだろう。

 
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途中の窓で既に絶景の予感

 
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登りきった!

 
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ふあーーー
中世だ、まさしく

 
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本当に、当時からあまり変わってない景色なんじゃないかなと思える。

 
すっごい素敵な街だな!!
もっとたくさんの人に紹介したいような、今のままひっそりといてほしいような。

 
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塔を降りて、お腹が減ったのでピザを買った。
元の1枚の大きさが巨大すぎやしないか。

 
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「小便小僧」ならぬ、「タル執事」かな。

タル執事の横のベンチに座ってピザを食べていたら、おじさん一歩手前くらいのおじさん(結局おじさんと呼ぶ)が英語で話しかけてきた。
なんと偶然、自分がピザを買った店のオーナーさんだった。
久しぶりに英語話せるのが嬉しくて、誘われるままカフェに入り、

 
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アイス奢ってもらってしまった。
その後もしばらく楽しく話してたんだけど、残念ながら明らかにワンナイトラブを迫る流れにされてしまったので「ごめん無理」つって慌てて逃げた。

ホイホイとカフェに入ってしまったことを後悔した。
以降今現在に至るまで男性からのマンツーマンの誘いは全て断っている。
ちなみに別にナンパ自体が悪いことだとは思っていない。
ただ自分がスマートにかわせないことが、いい大人なのに情けないと思っている。
女性一人旅のみなさんってこの辺りどうしてんですかね。アンケート取って聞いてみたい。
まぁいちいち気にしないのが一番だろうとも思うけど。

 
宿に戻ってダラダラしていたら事件が起きた。
コロコロの中から突然ガザガザと音がしだしたのだ。
結構激しい音だ。
コロコロの中に何かいる。かなり大きい何かが。

心当たりがあった。
部屋に小さい羽虫がたくさんいたので、押すだけノーマットを吹いてしまったのだ。
フィリピン時代に気づいたんだけど、押すだけノーマットには一つだけ欠点がある。
効果絶大なあまり、普段死角に隠れているような虫も動き出す(苦しみのたうつ)という点だ。
フィリピン時代も何度か巨大Gを誘発してしまった。

どうしよう。
よりによってコロコロの中。
これ以上の恐怖があるか。
大のG嫌いの自分、確かめることすらできない。
ノーマットによって既に瀕死かもしれないが、「生きて」いる限り、瀕死であろうとなかろうと恐怖度合いは変わらない。

 
とりあえず彼氏にLINEで現状を訴える。
フィリピンはAM4時である。当然返信はない。(それ以前に既読にならない)
なんという迷惑な女だ。すっかり甘え癖がついてしまっている。
そもそもフィリピンからどう助けてもらおうというのか。
※ちなみに数時間後にこっちが申し訳なくなるほど親身な返信をくれた。優しすぎていっそ気の毒です(←じゃあそんなLINEするな)

 
数時間放置。
音は消えない。
(消えたところで中を確かめる勇気もないが)

もはやパニック状態の自分はさらなる暴挙に出た。
Facebookで助言を募集したのだ。
つくづく迷惑な女である。
親切な友人が何人か励ましと助言をくれた。
が、当たり前だが、最終的には自分でなんとかするしかない。

 
さらに数時間。
やはり音は消えない。
コロコロからは最大限の距離を取り、いつ何が出てきても逃げられる態勢でスタンバっている。

 
で、気がついたら朝だった。
緊張に疲れ果てていつの間にか寝てしまった。

音はしなくなっていた。
それでも中を確かめる決意を固めるのにゆうに1時間以上要した。

 
コロコロの中のものを一つずつ出していくと再び大きく「ガサッ」と音がした。
ビックリして悲鳴をあげながら再び部屋の隅まで逃げた。

しかし敵の場所を特定できた。
それは食材等を入れていた小さいバッグの中だった。

そこからの決断は早かった。

 
よし、バッグごと捨てよう(どーん)

 
こうして即席お味噌汁の元も緑茶パックも彼氏がくれたコチュジャンも失ったのだった。
ナンパをスマートにかわせないことよりも、この虫嫌いの方が大人として痛いかもしれない。。

 
 
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2016-09-24 | Posted in Blog, ハンガリーNo Comments » 
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