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ネットの海の果てで直虎愛を叫ぶ


訪韓記がおもっきし途中ですが、いよいよ最終回も間近ということで、ここで一発、大河ドラマ「おんな城主直虎」への思いのたけを叫びたいと存じます。

自分の中で遂にあの「秀吉」を超えた大河!
1年見続けてきてよかった!

まぁあんまり暑苦しく語ってもアレなんでね。既に暑苦しいけどね。
シモーネ的「『おんな城主直虎』の好きなセリフbest10」でまとめてみたいと思います。


 
 
第10位

向こうが徳川での権勢を誇る家の子を強みとしてくるなら、こちらは今川の国衆の、しかも潰れた家の子であることを強みとしてはいかがですか。
あれは潰れた家の子にしか出来ぬ、さすがは潰れた家の子、いやあっぱれ!
そう言わせるのです。

(本多正信/第42回「長篠に立てる柵)

 
出番の少ない脇役もとことん魅力的に描くのが今年の大河。
徳川家臣団は全員個性的で素晴らしいけど、特に出世前の本多正信は観ていて思わず「いいねぇ~!」と唸った。
普段飄々としていながら、いざというときニヤっと笑って賢いことするギャップがかっこよくて!
特にこのセリフを言ったときは、普段心の奥に潜めている野心が思わず零れ出てしまった感じがとてもよかった。
六角精児さんの役作りが素敵だったなぁ。
万千代の元服後と同じくらい、ノブの参謀っぷりも観てみたかった。
つくづく惜しい。なんで1年で終わっちゃうんだ直虎…

 
 
第9位

大名は蹴鞠で雌雄を決すればいいと思うのじゃ。揉め事があれば、戦の代わりに蹴鞠で雌雄を決するのじゃ。さすれば人も死なず、馬も死なず、兵糧も要らぬ。
ところが、それでも戦になる。蹴鞠の上手い者をめぐり、奪い合いが起こり、それが引き金となり、また同じことが起こる。
…和睦はありがたいぞ、三河守どの。

(今川氏真/第35回「蘇えりし者たち」)

 
脇役どころか、主人公の敵であり仇だった今川氏真。
にもかかわらず、輝きすぎて、これまでの「出来損ない坊ちゃま」のイメージをもはや覆してしまったと言ってもいいと思う。
それくらい今作の今川氏真は魅力的だった。
栄華の極みからどん底に突き落とされ、偉大すぎる祖母に叱咤されては落ち込み、一人になっても踏ん張り続け、それでも国衆に裏切られまくる。
必死に立ち回る姿がとことん人間的な氏真だからこそ、このセリフはずしんと来た。
井伊家もそうだけど、戦国の物語は、何も豪傑や英雄だけで紡がれてきたわけではないのだと気づかせてくれた。
特に今川氏真の場合は、武田に滅ぼされた敗者だけど、文化人として活路を見出し、最終的には明治まで家をつないだという、「実は勝ち組」な史実が熱い。
この時代に、正室の早川殿と最後まで添い遂げたという点もポイント高し。
演じた尾上松也さんがまた雅で絶品だった。

 
 
第8位

それは困る。
もしおとわが女子でなければ、俺のたった一つの美しい思い出が、無くなってしまう。

(井伊直親/第11回「さらば愛しき人よ」)

 
今作の直親って本当にもったいないキャラだと思うんですよ!
隠し子高瀬の発覚以来、すっかりスケコマシサイコパスのイメージが定着してしまったけど(そんな直親も好きだけど)、本当はそれだけじゃない、かなり深みのあるキャラクターだったはず。
ただいかんせん、それを描ききるには退場が早すぎた。(史実ゆえ致し方なし)
幼くして父を殺され、病弱な体で刺客から逃げ続け、それこそ血反吐を吐くような辛い思いをして生きてきたであろう直親は、きっと相当な闇を抱えていたはず。
だからおとわに平気で「(社会的に)死んでくれ」とか言うし、女も必要とあらばスケこます。
でもキラキラと希望に溢れすぎていて、その奥に潜む闇を慮れるのは政次くらい。
そんな直親が死を覚悟して語った言葉が、「たった一つの美しい思い出」って…!
どれだけ絶望の日々を送ってきたんだ、直親。その闇を想像して泣かずにはいられなかった。
それにしても直親を演じた三浦春馬さん、柴咲コウさんや高橋一生さんと比べて明らかにキャリアが若いはずなのに、まったく見劣りしない対等な存在感、素晴らしかった。
個人的には、今作のキャストで一番「いつか大河の主演をやってほしい」と感じた俳優さんでした。

 
 
第7位

おのれで荒れ地を耕せば 実りが出でてお年貢も 三年と無しと聞きまする
それまたどぉんと羽振りよき まことの事でありますか
嘘というなら瀬戸村を 訪ねてみるがよかろうぞ
かの瀬戸村でありますか かの瀬戸村でありますか

(中野直之・瀬戸方久・井伊直虎/第16回「綿毛の案」)

 
今作は、こういうちょこちょこ出てくるお囃子的なものや民謡・踊りとかのつくりが丁寧で、観ていてとても楽しい。
今川の雅楽や気賀の大道芸、徳川家臣酒井忠次の海老すくいなんかもよかったし、物語の主題にもなっている「竜宮小僧の歌」や、次郎法師の「謡い経」もいい。
で、特にこの「村民呼び込みミュージカル」は、話の展開とも相まってすごくワクワクした。
日本語ってリズムが乏しくてミュージカル的な使い方は難しいと思っていたけど、この使い方は斬新だったし、それでいてとても効果的だったと思う。
謡い経を聴いてても感じるけど、リズムが乏しいからこそ一言一言が響く日本語は、やっぱり綺麗だなぁと思った。
そういえば、武田信玄公が亡くなる晩に見ていた舞と歌もすごく綺麗でしたね。

 
 
第6位

亡き殿は玄蕃様と私に、井伊の者たちをつなぐ架け橋になってほしいと仰いました。
私はその役目を、玄蕃様亡き後継いでいきたいと思うております。
何卒、私にお役目を果たさせていただけませんでしょうか。

(なつ/第10回「走れ竜宮小僧」)

 
今作には印象深い女性がたくさん出てきたけど、私的に最も「こんな女が存在するわけねーだろ」だったのがこのなつちゃん。
でもそれは、よくある「こんな(男の幻想でしかない)女がいるわけねーだろ」の類ではなくて、自分が女性として憧れて止まない、「(いるわけないけど)現実にもどうかいてほしい、いたらいいな」と思わされる女性だった。
思えばなつちゃんは最初からずっと凄かった。
桶狭間での夫の最後を聞いたときは一言、「左様にございますか…」とつぶやいて静かに涙を流し。
次に愛した政次が死にに行くときも、最後の時を笑顔で見送り。
政次の最後を聞いたときも、「殿のお手にかかったのなら、義兄上も本望だったでございましょう」と、静かに泣き。
いやいやいやいや、絶対いないよこんな凄い女!!
ちなみになつちゃんの姉のしのちゃんが綺麗に対照的で、恋敵の直虎には憎しみをぶつけまくり、直親を失ったときは理性を失って泣きじゃくり、隠し子発覚時も直虎とともに直親を罵倒する。
うんうんこっちだよ女って! 親近感MAX!
でも、戦国時代にはなつちゃんのような女性も本当にいたのかもしれないなぁ。
なつちゃんの持つ愛情には、後述する石川数正のそれと近しいものを感じた。

 
 
第5位

死んでいく奴はみな左様なことを言う。
お家の為に命を捨てるは己の本懐、そんなことばかり言いよる。
残される者のことを考えたことはあるか。
助けられなんだ者の無念を考えたことがあるか。

(おとわ/第46回「悪女について」)

 
今作の凄さの一つは、過去に死んでいったキャラクターたちが、死後もその存在感を失わないところだと思う。
回想も、名前さえも出てこないのに、そこに確かに政次がいると視聴者が感じられる。
こういう、ドラマと視聴者の間に、ある種の「あうん」を実現するのって、実はすごく難しいことな気がする。
瀬名を通して、勝手に逝ってしまった政次に「ふざけんな」と絶叫するおとわには、ここまで数多の死を一緒に見届けてきた視聴者も号泣せずにはいられない。
死後のキャラクターの存在感で言うと、親子や家系といった「つながり」の生かし方もとても良かった。
家老として振る舞う政次の中には常に和泉が見えたし、亥之助の中には玄蕃となつと政次が確かに見えた。
虎松の中には直親としのが、そしてときどき直虎と政次も。
家康の中には瀬名と信康が生きているように見える。
セリフにも演出にも明確には出てこないにも関わらず。これってほんとに凄い。
死んだ人が残された者のなかに生きているということは、「彼らは無駄死にではなかった」と思えるということでもある。
例えば瀬名は、命を懸けて息子を助けようとしたのに、結局助けられなかった。
結果だけみればそれこそ「必要のなかった死」。でもその死が家康を、直虎を、万千代を大きく動かした。
政次もそうだし、直親もそう。
取るに足らない小国のたった一人の死が、時代の大きな流れに合流して歴史を動かす。
なんという深い感動。快感に近い。
こういう大河もあるのかと、開眼した気持ちだった。

 
 
第4位

もし私に兄や弟がいて、どこぞの殿方に嫁ぎ、館の奥で過ごしておったならば、百姓たちはただ米を運んでくるものと思うておったでしょう。
ならず者たちは世を乱す悪党。商人は銭ばかり追い求める卑しき者。乗っ取りを企む家老は敵。
そこにそれぞれの人生や思いがあるなどとは、思いを馳せることすらせず。
私は幸せにございますよ母上。この人生をお与えくださり、かたじけのう存じます。

(おとわ/第44回「井伊谷のばら」)

 
このセリフを聞いて、ああ、このドラマが描きたかった本当の大義はこれだったのかもしれないなぁと思った。
「おんな城主直虎」でしか辿り着けなかった人生の境地。
それは同時に、歴史を一方向からばかり捉えがちな我々視聴者に対する痛烈な皮肉でもある。
百姓もときには大名を動かすほどの勢力になり得たこと、商人が街を治め城主にまで上り詰めたこと、戦国時代の微力な小国にも壮大なドラマがあったこと。
歴史の大舞台の影に隠れて見過ごしがちな「本質」が、女だてらに家督を継いだ直虎の人生を通して見ることで、とてもクリアにすんなりと入ってきたように思う。
「女性に焦点をあてる」というのは、その大義を示す上でとても効果的な方法だったんだなぁと気づかされた。

 
 
第3位

瀬名は母として、妻として、その命を使い切った。
では、そなたは何のためにその命を使うのじゃ。
母でも妻でもないそなたは、何にその命をかけるのじゃ。

(南渓/第46回「悪女について」)

 
これは抉られました。
多分今作で私が一番抉られたセリフです。
この言葉が胸に響いた女性視聴者は多いんじゃないかなぁ。
私が一番感じたのは、「ああ、そうだよなぁ。母でも妻でもなくても、大切な何かのために生きることはできるんだよなぁ」ということでした。
誰に強いられるでもなく、望まれるでもなく、自分の意志で。
ある意味、現代女性が自ら抱えてしまっている「呪縛」を解き放つ、魔法の言葉のようにも感じました。
脚本家の森下さんからの、現代女性へのエールだったのかもしれないなぁ。

 
 
第2位

お方様。
私はお方様ほど美しいお人を他に知りませぬ。

(石川数正/第46回「悪女について」)

 
こんなにも潔く、こんなにも美しい告白がこの世にあるのかと。
なんかもう感動を通り越して、祈りたくなりました。
数正は今川主従時代からずっと瀬名を慕っていたんだと思う。
でもそれはあくまで主人家康のお方さまとして、若君の母上様として。
「自分のものにしたい」という種類の恋慕ではないんですね。
数正は瀬名が井伊に匿ってもらえると知ったとき、心の底からほっとして喜んでいた。
つまり本当は数正も、瀬名を誰よりも死なせたくなかったんだと思う。
でも数正は瀬名の決断に決して反対せず、むしろその本懐を遂げさせるために自らも命を賭ける。
これは「殿のために死にたい」と望む政次を止めずに笑顔で送り出したなつちゃんの行動と似ている。
こんなに美しい、無欲の愛情が、世界に本当に存在したらいいなぁと願わずにいられない。
数正の精いっぱいの告白に「何を、いまさら」と笑って答える瀬名がまた最高だった。
「私が美しいなんて当然じゃない」とも「あなたの想いなどとうに知っていましたよ」とも、あるいはその両方ともとれる秀逸な返し。
数正は瀬名のこういうかっこいい性格も含めて好きだったんだろうなぁ。
むごい死を前にしながら笑い合う二人が、本懐に向かってちょっと幸せそうにも見えた。
大河史に残る名シーン・名セリフだったと思う。

 
 
第1位

あんたみてぇな女が他にいるかよ。
情にもろくて、泣いたり怒ったり忙しい。そりゃあもう普通の女なのに、そいつがなんでか、兵一つ使わず町を手に入れ、人ひとり殺さず戦を乗り切り、したたかに世を変えていくんだぞ。
そんな女が他のどこにいるんだよ。

(龍雲丸/第38回「井伊を共に去りぬ」)

 
龍雲丸は私の中である意味、なつちゃんの男バージョンでした。
「こんな男絶対おらんわ!!」の筆頭。もはやファンタジーの域だと思う。でもどうか存在してほしい。
私はあえて、直虎の人生ってものすごく幸せだと思うんですよ。
本人が肯定していたのとはまたちょっと違った意味で。
(直親がちょっとかわいそうだけど)直虎の人生は、自身が愛した二人の男性に完全に肯定された人生だったと思うんですよね。
1人目は政次。
幼馴染であり主従であった二人は、恋人でも夫婦でもなかったけど、もはや恋人や夫婦以上の強いつながりを持つ運命共同体だった。
直虎はその政次に、最終的に殿として、比翼のパートナーとして認められ、肯定された。
ずっと尊敬し、劣等感を感じていた相手に、女だからと好きとかではなく、その仕事ぶりを認められた嬉しさたるや、いかばかりかと思う。
こういう肯定って現代女性の悲願の一つだと思う。
そして2人目が龍雲丸。
(政次がちょっとかわいそうだけど)出会いが完全にフラットだった二人は、最初からお互いを異性として意識し、恋愛対象として見ていた気がする。
そして龍雲丸は最終的に、直虎の女性としての魅力に「殿であること」を見出す。
「こんな女は他にいない、だから好きになったし、これからも待てるんだ」と。
つまり直虎は、政治的パートナーの政次には殿として肯定され、異性パートナーだった龍雲丸には女として肯定されたんだと思うんですよ。
これって凄くない?
これ以上の幸せがあるだろうか。
しかもそれを受けて直虎も自由であり続ける龍雲丸を肯定し、「やはり待たずともよい」と言えるのがかっこいい。
ああ、こんなにもかっこいい別れ方があるのかと。
今までは芸能人が「お互いのより良い未来のために離婚という道を選択しました」とか言うと「なに綺麗にまとめてんだ」とか思ってたけど、これからは「おお、直虎と龍雲丸のパターンか」と思うことにします。(嘘)

 
 
 
以上、シモーネ的「『おんな城主直虎』の好きなセリフbest10」でした!

 
 
 
<番外編>
好きなセリフ(コメディ編)best5

5位「かんじゃじゃなんじゃ」
4位「殺す!まとめてころーす!」
3位「おなごは血など見飽きておるからの」
2位「ええい、尻の穴の話は聞き飽きた」
1位「なぜ中野が美丈夫の列に」






2017-12-09 | Posted in Blog, 帰国後_雑記No Comments » 
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